- 馬奈木俊介(編著)『原発事故後のエネルギー供給からみる日本経済: 東日本大震災はいかなる影響をもたらしたのか』, ミネルヴァ書房.
http://www.minervashobo.co.jp/ book/b227356.html |
以前校正していた論文。書影出た。私は第2章の分担。
目次
- はしがき(馬奈木俊介)
- 序章: 東日本大震災とエネルギー需給の関係(北村利彦)
- 第1章: 購入電力と自家発電の価格弾力性:製造業における購入電力と自家発電用燃料の代替性/補完性を中心に(馬奈木俊介・北村利彦)
- 第2章: 原子力発電所停止の影響と火力代替の効果:季節・時間帯別のシミュレーション(細江宣裕)
- 第3章: 太陽光発電のある家庭のデマンドレスポンス:横浜市のフィールド実験から(田中 誠・依田高典・村上佳世)
- 第4章: 社会規範vs価格インセンティブ:フィールド実験による家計の省エネルギーの分析(松川勇)
- 第5章: 東日本大震災と日本の製造業:どのような製造事業所が早期回復に成功したか(乾友彦・枝村一磨・一宮央樹)
- 第6章: エネルギー生産効率性の変化要因: 紙パルプ産業を対象にした分析(田中健太・馬奈木俊介)
- 第7章: 製造業におけるエネルギー消費の変動要因: 要因分析法を用いた検証(岩田和之)
- 第8章: 消費者を対象とした環境技術導入に関する要因分析:選好,行動経済的要因による技術普及に対する影響可能性の検証(岩田和之・田中健太・馬奈木俊介)
- 第9章: 日本の固定価格買取制度と太陽光発電普及の効果(日引聡)
- あとがき(鶴見哲也・馬奈木俊介)
第2章の概要
Hosoe (2015, Energy Policy)の論文を改稿
モデルとデータ
- 9地域電力空間均衡モデル(部分均衡)を構築
- 2010年度の毎時の電力需要データに合わせてキャリブレート
- 供給側は、青本の燃費データからメリット・オーダーを推定
- ただし、青本の問題で少しデータが古いが、燃料単価は改定
- 基本は12ヶ月それぞれについて代表的な1日の24時間の需給を分析
- 追加的に5,8月の毎日について同様の分析
(ほかの月についてはHosoe (2015, Energy Policy)のAppendix A. Supplementary materials参照)
原発停止シミュレーション
- 全原発停止
- 老齢機(30年超)(+福島1,2)停止
- BWR(沸騰水原子炉)のみ停止
- 喪失した原発と同じ容量のガスタービン(GTCC)導入
分析の視点
- 時間帯別に需給を分析(Akiyama & Hosoe (2011), 細江・秋山(2007)では8月の15時のみ)
- 各地域の電力価格(卸市場)
- 地域間送電パタンの変化(送電線混雑の有無...とくにFCは?)
参考文献
- Hosoe, N. (2015) "Nuclear Power Plant Shutdown and Alternative Power Plant Installation Scenarios: A Nine-Region Spatial Equilibrium Analysis of the Electric Power Market in Japan," Energy Policy 86: 416-432.
- Akiyama, S., Hosoe, N. (2011) "A Spatial Equilibrium Analysis of Japan's Electric Power Network," Review of Urban & Regional Development Studies 23(2-3): 114-136.
- 細江宣裕, 秋山修一 (2007) 「送電料金改革の効果分析---パンケーキ方式から郵便切手方式へ---」, 八田達夫, 田中誠(編著)『規制改革の経済分析』, 日本経済新聞出版社 所収, 第2章: 75-99.
- 経済産業省(2011)「過去の電力需要実績」, 8月26日.
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