いつの世も浮かんでは消える巷の夢物語。「消費税を下げてGDPを増やせば、結局税収が増えるじゃないか」、という例のラッファー・カーブの話を考えてみる。CGEとかマクロ計量モデルとかややこしいのを使わず、ただの算数で。
2016年度、単位:兆円、GDPは国民経済計算、税収は予算ベースでいくと、
から、
(このTAX/GDP比率、VAT/GDP比率は外生と仮定)
(厳密には、このGDPはGDPmp(間接税込み)なので、このGDPにVATがかかっているとするとTax-on-taxなのでまずい気がする(適当)が、GDPfcにしても結果は変わらない。)
単純にVAT/GDPを7/8(8→7%)に減税したら、VAT/GDP=2.7%に下がる。このとき、VAT欠損額2になる計算。一方、VAT減税でGDPが一体どれぐらい増えるかは、確かなことはすぐには言えないので逆に解く。つまり、GDPが何%増えていれば、TAX+VATで従前の税収を得られるかを考える。
計算してみると、GDPが4%伸びていれば欠損を埋められる。
さて、「4%ぐらい簡単!」と思う人もいるかも知れないが、そうか? 最近は1%成長がせいぜいなんだから、4年分の成長を一気に、しかも、消費税減税だけをエンジンとして達成できるか? また、(局所的な話だから線形近似が許されるとして)反対向きに考えて、8→9%と1%ポイント増税した場合、1年でGDPが4%も急落するか? 歴史的に見てもどう? QED
なお、上の算数では、ほとんどなにも仮定していないことに注意。せいぜい、TAX/GDP比率が従前の通りで、VAT/GDP比率が思い通り7/8(消費税率1%ポイント減)になるということぐらい。乗数効果は考えていないので、それは多少問題かも知れないが。あとは、常識で判断。
たとえば、直近の3%ポイント引き上げでは、2014の実質GDP成長率は前年のものより3%ポイント程度しか落ちてない。1997の2%ポイント引き上げでも、やはり3%程度の低下にしかならない。(しかも、引き上げ前の駆け込み需要/導入後の需要減によって落差がより大きく見えるようになっている。他のプラス/マイナス要因もあるにせよ。)
内閣府「国民経済計算」
財務省「平成28年度 歳入・歳出の概要」
下ごしらえ
2016年度、単位:兆円、GDPは国民経済計算、税収は予算ベースでいくと、
- GDP 539
- 消費税以外の総税収(TAX) 56
- 消費税(VAT) 17
から、
- TAX/GDP=7.2%
- VAT/GDP=3.1%
(このTAX/GDP比率、VAT/GDP比率は外生と仮定)
(厳密には、このGDPはGDPmp(間接税込み)なので、このGDPにVATがかかっているとするとTax-on-taxなのでまずい気がする(適当)が、GDPfcにしても結果は変わらない。)
シミュレーション
単純にVAT/GDPを7/8(8→7%)に減税したら、VAT/GDP=2.7%に下がる。このとき、VAT欠損額2になる計算。一方、VAT減税でGDPが一体どれぐらい増えるかは、確かなことはすぐには言えないので逆に解く。つまり、GDPが何%増えていれば、TAX+VATで従前の税収を得られるかを考える。
計算してみると、GDPが4%伸びていれば欠損を埋められる。
考察
さて、「4%ぐらい簡単!」と思う人もいるかも知れないが、そうか? 最近は1%成長がせいぜいなんだから、4年分の成長を一気に、しかも、消費税減税だけをエンジンとして達成できるか? また、(局所的な話だから線形近似が許されるとして)反対向きに考えて、8→9%と1%ポイント増税した場合、1年でGDPが4%も急落するか? 歴史的に見てもどう? QED
日本の実質GDP成長率と消費税率 |
なお、上の算数では、ほとんどなにも仮定していないことに注意。せいぜい、TAX/GDP比率が従前の通りで、VAT/GDP比率が思い通り7/8(消費税率1%ポイント減)になるということぐらい。乗数効果は考えていないので、それは多少問題かも知れないが。あとは、常識で判断。
たとえば、直近の3%ポイント引き上げでは、2014の実質GDP成長率は前年のものより3%ポイント程度しか落ちてない。1997の2%ポイント引き上げでも、やはり3%程度の低下にしかならない。(しかも、引き上げ前の駆け込み需要/導入後の需要減によって落差がより大きく見えるようになっている。他のプラス/マイナス要因もあるにせよ。)
参考
内閣府「国民経済計算」
財務省「平成28年度 歳入・歳出の概要」
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