ロシアのウクライナ侵攻に対する、西側制裁の影響を静学的な世界貿易一般均衡モデルで分析したもの。モデルとしてはとくに凝ったところはなく、制裁の小麦・食品や燃料価格への影響を詳細に見るためにその分の追加の入れ子を入れたぐらいか。なお、使ったデータはGTAP 11 Prerelease 2。西側各国や、インド、中国が100%輸入関税・輸出税を課すことでどれだけロシアに被害がもたらされるか、また、制裁参加国自体がどれだけ被害を被るかといった点を分析。
- Hosoe, N. (forthcoming) "The Cost of War: Impact of Sanctions on Russia Following the Invasion of Ukraine," Journal of Policy Modeling.
昨年末の応用地域学会(山梨大学)で報告したもの。その前に投稿はしてあったのだが、音沙汰がなかったので年明けに確認メールをしたらどこかで店ざらしだった様子で、少ししたらR&Rの返事。最新のGTAP11(2017年)のデータを使ったにもかかわらずなるべく最新のものにせよとか、中国が参加した場合の影響について詳述せよ、といったリクエストが書いてあるようなのだが、例によって非常にわかりにくい査読報告書、というか、その要点をまとめたエディタからのメール。英文としておかしなところは全くないのだが、やたらと捻りが効いている。GTAP11以上に新しいデータはないので、最近の貿易・商品相場の推移(ちょうどそのことにウクライナ戦争開戦1年ぐらいになるところ)を追記、中国の役割についてもう少し書き込んで、英文全体をプロの手を借りてポリッシュして再投稿。果たして最終的にaccept。そのメールの中でタイトルが変更されていて(まあ、そういうsuggestionなのだろうから、受け入れて)、proofが来た段階で、しばしば「中国(やインド)が制裁に参加する可能性は非常に低いけれども」と補筆されていたりで、やはり、なかなか独特のジャーナルである。
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